石木ダムってご存知ですか

 長崎県で長年問題になっている石木ダム建設の是非について、ついに裁判所の判決がなされました。以下、新聞掲載された記事です。

 長崎県と同県佐世保市が計画する石木ダム事業(同県川棚町)で、水没予定地に住む地権者109人が国の事業認定の取り消しを求めた訴訟で、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)は9日、請求を放棄し、一部を棄下する判決を言い渡した。原告側は訴訴する方針。

 石木ダムは、佐世保市への水道水供給や川棚川流域の洪水防止を目的とした1975年、建設事業に着手した。県などは未買収の事業用地を取得するために2009年11月、土地収用法に基く国土交通省九州地方整備局に事業認定を申請。13年9月に認定され、強制収用が可能になった。地権者は15年11月に提訴していた。

 原告側は弁論で「水の需要予測が過大」などとして「利水、治水面共に事業計画の根拠がない、ダムは必要ない」と主張していた。武田裁判長は判決で「利水、治水共に事業計画は国の手引きや指針に基づいている、不合理ではない」と認定。「地権者が移転することで失効給与よりも、地元住民の生命の安全などダム建設によってより得られる利益の方が大きく、必要性を認め、土地収用の公益性も認めた。【浅野孝仁、綿貫洋】

                                 」

 最近はもうこんなダム問題はなくなったのかなと思っていました、まだやっているのですね。海水から真水をつくれる現在、治水についてはともかく、利水のために地権者を追い出していいとは、やや理解できません。

 ちなみに記事を読んだとき思ったのですが、たぶん「行政側はもうすでにダム建設は本当はあきらめている」のだろうと思います。しかし、関係団体と約束した手前断念したとは言えないし、住民に水不足といった以上ダムをやめたらほかの策を講じなければいけないし、逆に本当に力ずくでやった後に水不足はなくて水道料金だけ上がったといわれるのもいやだし、つまり、振り上げたこぶしの下ろし先がないので、今のこう着状態が一番いいと思っているのではないかと思っています。

 ともかく、判決はでました。憲法22条には、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有す。」に記載されています。裁判所の判断では、地権者たちは公共の福祉に反してそこに居座っていることになります。 

 判決理由で私が気になったのは、「利水、治水共に事業計画は国の手引きや指針に基づいて、不合理ではない」の部分です。「国が作った事業計画が、憲法やその他の法律に照らして間違っていないかどうかを判断する」のが、司法の役割であるはずなのに、「国が作った事業計画は正しい」との前提での判断では、司法は行政から独立しておらず、三権分立ではありません。

 「民間の感覚」を司法に取り入れるために、裁判員裁判制度が始まりました。ところが、民間裁判員が参加するのは殺人をしたかどうかの部分で、いわば素人が最も苦手な部分です(2時間ドラマを見て育った私たちは、アリバイがあれば「できすぎている」と思いますし、自首してきた犯人は「誰かをかばっている」と考えてしまいます‥) 

 「素人」は、民事事件や、刑事事件なら量刑の部分がおそらく得意です。一般常識でイケるからです。ダムや原発など、行政の判断に対する評価は、もっとも一般国民の考えを反映させるべき事例だと思います。

 現在のように、裁判員が殺人事件のみを処理するようにしたのは、「法律のプロ」たちが「やっぱり素人の君たちゃゃ難しいだろ」と言うため、つまり「これ以上は一般国民を裁判に参加させないための制度」だと、これまでは思っていました。今回の判決をみると、もっとそれ以前の「行政訴訟裁判員裁判にしない」根本的な理由がわかりました。「そんなことをしたら、行政にとって大変なことになる」からでしょう。

 最近納得のいかない、判決が続いています。石木ダムの判決がでたというニュース映像で、『不当判決』の垂れ幕の横に『裁判所はいしきをかえよう』との垂れ幕も映し出されました。

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