救急車有料化について考えてみました

9月9日は救急の日でした。そこで今回は、救急車の有料化について考えてみました。ご存知の通り『救急搬送の有料化』については長年にわたって議論がなされていますが、いまだに実践はほぼなされていません。

検索すると、医師は9割が有料化賛成、市民対象のあるアンケート調査でも有料化賛成は8割にものぼったそうです。私個人も有料化すべきだと思います。「無料という選択肢はないやろ」と思います。『医療の入り口』という意味で、保険診療にしてもよいかもしれません。有料化には、いろんな反対意見・デメリットが考えられますが、それらに対してはそれぞれ以下のような反論ができると思います。

・有料にすると、重症者が救急車を呼ぶのをためらってしまう?

⇒ 病院に行くのを決めた時点で、救急車であろうがタクシーであろうが、相当の出費は必ずかかります。病状が重ければ重いほど、それなりの医療費がかかりますので、相対的に“救急車代”は安く感じられるはずです。重傷者が“ためらわないように”というなら、医療費もただにしなければなりません。

・有料にするとかえって救急車を呼びやすくなるのでは?

⇒ 非常に重要な指摘です。5千円程度以下だと逆に救急車を呼びやすくなる心理が働くといわれています。ただ、有料化のメリットは財源ができることです。救急車がたりなくなれば、これを使って救急車を増やせます。もし受け入れ病院にも財政的なメリットができれば、受け入れ決定がスムーズになり、搬送時間が短縮され、結果多くの搬送が可能になるかもしれません(現在は、受け入れ病院がなかなか決まらず、搬送時間が長くなっているケースが多いです)。いずれにしても“金額”が当然重要な問題ですので、これについては後述します。

・有料にすると、倒れている人を見かけた人が救急車を呼んだ場合、誰が費用を払うのか問題になる?

⇒ 誰が考えたのか、やや無理矢理つくられた“有料化の問題点”のように思われます。意識がない人は当然救急搬送の適応です(たとえ飲酒後であっても、意識がない人に対して救急車をためらうべきではありません)。費用も搬送された人が払うことで問題ありません。前にも述べたように、どうせ医療費もかかります。

 

私は救急医療が専門ではないので、経験が多いほうではありませんが、そんな私の少ない経験からいうと、救急車は十分適切に使われています。むしろ「なぜ救急車を呼ばなかったの!」というケースが圧倒的に多いです。行政は、知ってか知らずか、稀な逆のケースばかり誇張して、「救急車(と夜間救急医療)の適正利用」をと訴えます。そしてその割りに救急搬送の有料化には前向きではありません。前向きなのは、財務省だけで、消防庁地方自治体も議論を進める気が見られません。

既に2007年に、『救急医療サービスの経済分析』という報告書で、『救急車は有料化すべきであり,利用料金は 13,600 円から 17,600 円として,利用者負担の原則からその料金収入をサービスの拡大に充てるべきである.』との提言がなされています。金額については少し高い気がしますが、『出場一回あたり40,000円~45,400円』を根拠に算出されていますので、もう少し“規制緩和(たとえば、救急車1台あたりの必要隊員の数を減らすなど)”や“競争”があれば、金額は下げられると予想できます。

『救急搬送有料化』が実施されると、おそらく次に『救急搬送の民営化』の議論がなされることは間違いないと思います。うがった見方かもしれませんが、“(財務省以外の)公務員”たちは、『民営化』の議論が怖いから『救急搬送有料化』に後ろ向きなのかもしれません。

とにかく、これ以上の「救急搬送・救急医療の“適正化(?)”」の呼びかけは、かなり危険な気がしています(重傷者が救急車を呼ばなくなります)。本当に救急搬送がピンチなら、“ただの呼びかけ”以外の具体的な方策をとるべきです。

 

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