これはおかしい9条以外の憲法の条文

憲法改正がなかなかすすみません。今度こそは、安倍総理憲法改正案を出すのかと思いきや、まだその動きはないようです。そろそろ始めないと“公約違反”になりそうです。

憲法改正といえば、主に憲法9条のことをさすようですが、憲法全文を読んでいくと、変えたほうがいい部分は、他にもたくさんあるように思います。

 

1.なぜ『3分の2』か。

まず改正すべきは、

第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。

の部分でしょう。憲法を変えにくくするために3分の2以上としているのでしょうが、国民の代表である国会議員の、“過半数”が「変えたほうがいい」と思うものは、変えるべきであって、3分の2という数字に根拠はありません。(もちろん、民意を反映した国会議員構成であることが前提ですが‥)

 同様に、衆議院参議院衆議院を優位とするのであれば、

第59条 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

についても、おかしい条文となります。例えば、衆議院で6対4で賛成、参議院で4.5対5.5で反対の場合、法案は通らないことになり、これでは参議院優位になってしまいます。

 これは日本的なのか、それとも全世界的にそうなのかわかりませんが、「本来『変えるという判断』は『変えないという判断』と対等なはずなのに、『変えるという判断』はハードルが高く設定されることが多いようです。

 これを正すためには、「参議院で否決されても、衆議院で“過半数で”再可決すれば、成立となる」とすべきです。そうなると、参議院の判断にかかわらず法案成立(または不成立)となり、つまりは「参議院は必要ない」ことになります。そうすると、

第42条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

第46条 参議院議員の任期は、6年とし、3年ごとに議員の半数を改選する。

などの、参議院に関する条文がなくなります。

 

2.内閣総理大臣の解散権について

第66条 の 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

の記載に対して、

第69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。

の条文については、『10日以内に衆議院が解散されない限り』という部分がくせ者です。では、衆議院を解散するのはだれでしょうか、正解は天皇です。憲法内閣総理大臣とは書いてありません。

第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
三に、 衆議院を解散すること。
と記載されています。国会で議長が「衆議院を解散する」といっているのは、とんでもない憲法違反のようです。
 調べて初めて知ったのですが、「内閣総理大臣衆議院を解散する権利」を明記した条文は、憲法に記載されていません。さきほどの第69条と第7条に、“気づかれないようにこっそり”差し込まれています。「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」のですから、内閣不信任案が通った場合は、内閣総理大臣を選ぶ立場の国会が『信任できない』わけですから、当然総辞職すべきです。これに“報復”するのは、議院内閣制の考え方に反します。
 まして、不信任案が出てもいないのに、勝手に総理大臣が衆議院を解散、つまり国会議員を辞めさせることは、“独裁”を生み、憲法に書かれている考え方に矛盾します。もちろんそんな権利は、憲法のどこにも書いてありません。
 
3.裁判官の任命について
 個人的に、日本国憲法でもっとも変えるべきは、
第79条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。
だと思っています。『司法の独立』と真っ向から矛盾する条文だからです。ちなみに、条文をよむと、最高裁判所長官の任命は内閣ではないような記載ですが、もちろん、
第6条 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
とこっそり記載されていて、結局内閣総理大臣が指名します。さすがに最高裁以外の裁判官は、内閣が決めるのではないと思っていましたが、
第80条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。
と書いてあるように、任命の段階で内閣が関与します。裁判官は全員、内閣が指名または任命しているのです。
 自衛隊関係や原子力発電や公共事業など、多くの司法判断が『行政支持』になっている現況は、これが元凶だと予想されます。内閣が任命した裁判官が、内閣に不利な判断をするはずがありません。
 
 子どものころに『三権分立』と教わりましたが、この憲法では全く機能しないであろうことが分かります。まず民意を反映した国会にしたうえで(小選挙区制を廃止し)、国会の権限を強くする(総理以外の国務大臣も、最高裁判所判事も、国会が指名するとよいのではないかと思います。)必要があるように思います。
 
 現在の憲法は、意図したものがどうかはわかりませんが、『三権』の中で『行政』の一人勝ちの状態を作ったうえで、内閣総理大臣と官僚が仲良くすることで、官僚天国となるようにできているようにも感じられます。その意味で、本当の国民主権を取り戻すためには、国民が不正をはたらく『公務員』を辞めさせる権限をもつことが必要です。
第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
という条文があります。この条文を生かすために、『公務員の定義』『任命の仕方』『罷免の仕方』についての記述の追記、もしくは、「これに関する法律」が必要のように思います。
 
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