新型コロナウイルス感染者数は本当に激増しているのか

 新型コロナウイルス感染症患者数が急増しています。とくに“リンクが追えない患者”が増えているということで、警戒感が高まっています。

 本当にそうでしょうか。以前公衆衛生学を少しかじったことのある者として、新規患者数のデータの解釈について、ひとつ書いておきたいことがあります。

 「“リンクが追えない患者”が増えている」については、PCR検査の対象が軽症者や若者にシフトしているだけの可能性があります。以前から言われていることですが、検査をすればするほど陽性者は増えます。これまでは重症肺炎患者や濃厚接触者に限定されていた検査が、軽症の患者が多数いることがわかったことで、対象の範囲が広がり、これにより陽性者が増加している面があるでしょう。

 一方、「“リンクが追える患者”はそれほど増えていない」のは、注目すべき良い材料です。累計感染者数は増えているわけですから、その濃厚接触者の検査件数も増えているはずですが、その割に“リンクが追える患者”は爆発的には増えていません。ただしこれについても、検査の方針の変更(具体的には、これまでは全例PCR検査していた“濃厚接触者”ですが、最近は在宅での経過観察のみで検査はしないケースが増えた)等のバイアスがあるのかもしれません。

 感染が拡大しているかどうかは、やはり死亡者数でみるのがいいのかもしれません。死亡者についてはその死因である新型コロナウイルス感染が見落とされている可能性が低いと考えられるからです。しかし、死亡者数の推移については絶対数が少ないため、誤差が大きいと思われますので、そういう意味では「重症患者数」のほうが、感染拡大の有無についての指標としては最も適切かもしれません。

 

 

 

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